想像してごらん、予定が何もないことを。 カレンダーは真っ白、ただの紙切れ。 時計の針は止まり、ベルも鳴らない。 やるべきことは、何ひとつないんだ。
想像してごらん、朝から晩までパジャマ姿。 「生産性」なんて言葉は、辞書から消えちまった。 空はただ青く、雲はただ流れる。 それを見つめるだけで、一日は終わる。
きみは言うかもしれない、 「あいつはただの『ひまじん』だ」って。 でも、僕だけじゃないはずさ。 世界中のみんなが、ただの「ひまじん」になれたなら。 争う理由さえ、面倒くさくて忘れてしまうだろう。
想像してごらん、国境なんてない。 だって、そこまで歩いていくのがだるいから。 宗教も、主義も、難しい理屈もない。 ただ、隣のやつと「暇だね」と笑い合うだけ。
想像してごらん、所有するものなんて何もない。 重い荷物を持つのは、ひまじんの美学に反する。 強欲も飢えも、どこかへ消えていく。 だってみんな、奪い合うよりも昼寝をしたいんだ。
きみは笑うかもしれない、 「そんなのただの怠け者だ」って。 でも、忙しさが世界を壊してきたんじゃないか? もしみんなが、コーヒーの一杯を淹れる時間に 一生を捧げるくらいの「ひまじん」になれたなら。 世界は、ようやく静かになれるんだ。
想像してごらん、 何も成し遂げないことの素晴らしさを。 歴史に名を残さず、SNSに何も投稿せず、 ただそこに存在しているだけの自分を。
想像してごらん、 僕らがただの「ひまじん」として、 今日という日を、溶かしていく姿を。
◇ ◇ ◇
ジョン・レノンの解説(風エッセイ)
やあ。僕だよ。
みんな、僕が『Imagine』で「天国なんてない」とか「国境なんてない」とか歌ったのを、ずいぶん真面目に受け取ってくれたみたいだね。もちろん、あれは本気だった。でも、今の世界を見ていると、みんなちょっと「忙しすぎる」んじゃないかな。
平和を求めるためにデモをして、プラカードを掲げて、大声で叫ぶ。それもいい。でも、もっと究極の平和があることに気づいたんだ。それが「ひまじん」さ。
1. 「何もしない」という革命
みんな、何者かになろうとしすぎている。偉大なリーダー、成功したビジネスマン、完璧な親。でもね、何者でもない「ひまじん」でいることには、とてつもない勇気がいるんだ。社会は「時間を有効に使え」と急かしてくるけれど、僕はあえて言いたい。「時間は、無駄にするためにあるんだよ」って。
ベッドの中でヨーコと一週間過ごしたとき、世界中の記者が僕らに聞いた。「何をしているんだ?」って。僕らは答えた。「何もしないことをしているんだ」とね。それが一番の平和活動(ベッド・イン)だったんだ。
2. 争いの原因は「忙しさ」にある
人は暇すぎると、たまに余計なことを考えるけれど、本当に「ひまじん」を極めた人は、誰かを攻撃したりしない。だって、誰かを憎むのにはエネルギーがいるし、戦争をするには綿密なスケジュール管理が必要だ。
もし、独裁者が「あー、今日は天気がいいから、宣戦布告するのやめて昼寝しよう」って思ったら? もし、兵士たちが「引き金を引くのが面倒くさいな、このまま草の上でゴロゴロしていよう」って思ったら? それが、僕の言う「ひまじん」による世界平和なんだ。
3. 所有からの解放
「ひまじん」は、たくさんのものを持たない。管理するのが大変だからね。 広い屋敷、速い車、たくさんの宝石。それらを手に入れるために、みんなあくせく働いて、心をすり減らしている。でも、本当に必要なのは、座り心地のいい椅子と、窓から見える景色、それから大好きな人の手だけだ。
4. きみへの提案
きみがもし、このポエムを読んで「自分はなんて無価値な時間を過ごしているんだろう」と不安になったなら、おめでとう。きみは立派な「ひまじん」の素質がある。
時計を外して、スマホを裏返して、ただ呼吸をしてみて。 何かを生み出そうとしなくていい。 世界を変えようとしなくていい。 ただ、そこにいて、退屈を愛してごらん。
僕が歌った「Imagine」の理想郷は、実はすぐそこにあるんだ。 忙しい世界の手を離して、僕と一緒に「ひまじん」になろう。
愛を込めて。 John